lim(L→∞)において発散する非収束型文章
2006年5月19日 日常5月19日午後5時。私は極めて深刻な状況に陥っていた。
原付通学を始めて2日目、大雨という事態に遭遇した私は大学の生協で買ったレインコートを着て帰宅することにした。原付を大学に置いてバスで帰宅するという選択肢もあったのだが、この湿度の中、養鶏場の如く詰め込まれたバスに乗るということは忌避される行動であることは言うに及ばない。つまり私は今日という日(無論一週間の終わりとしての今日だ)の終わりを少しでも優雅な形で締めくくりたかったのだ。
しかし道の途中、私は自分がある種の袋小路に潜り込んでしまったことに気付いた。悲しいレインコートは豪雨の前には何の役にも立たず、私と私の荷物は雨に曝されるしかなかった。大学と自宅の中間地点、強まる雨。結局の所、袋小路を抜け出すためには壁を無理矢理に乗り越える道しか残されていなかった。(仮に引き返したとして、何が得られただろうか?)
壁を乗り越えるために方針を立てねばならなかった―これ無しに動き回ることは悪い結果を招くであろう事は容易に推測できたからだ。すでに取り返しのつかない域にまで濡れている私と、まだ致命的とは表現できないにしろそれなりに濡れた私の荷物。私はレインコートを脱ぎ、荷物に被せた。何かを守るためには他の何かを捨てなければならないのだ。人生における重要なルールの1つである。故人は言った、「二兎を追う者…」
再び走り出した私に容赦無く雨が降り注ぐ。私が学んでおくべきだった事柄はたった1つだった。398円のレインコートは何一つ守ることができない。精々、小さな荷物が濡れるまでの時間を稼ぐ程度である。その程度の事を忘れていたという些細な失敗が私をこれほどまでに危機的な状況に追い込んでいた。致命的なミスというものは大概はそのようにして起こる。いや、そのようにして起こるミスこそが致命的なものなのだ。真に警戒すべき対象は、往々にして警戒されていない方向に存在する。事態が明らかになった時にはもう誰もその進行を止められない。
しかしながら、特定の種類の物事に付随するリスクの増加は、ある段階を超えた時点から現実感と共に薄くなっていくものだ。全身が濡れた段階において、私はある種の悟りともいえる状態に達していた。皮膚を濡らす雨。水滴。水飛沫。水。水。遠い遺伝子の記憶。蒼い海。人はいつから水を恐れるようになった?今、私は母なる海に還るのだ。生命の源へ―――
あ、すいません。特にオチとか無いんで。ごめんなさい。また明日。本当すいませんね。
原付通学を始めて2日目、大雨という事態に遭遇した私は大学の生協で買ったレインコートを着て帰宅することにした。原付を大学に置いてバスで帰宅するという選択肢もあったのだが、この湿度の中、養鶏場の如く詰め込まれたバスに乗るということは忌避される行動であることは言うに及ばない。つまり私は今日という日(無論一週間の終わりとしての今日だ)の終わりを少しでも優雅な形で締めくくりたかったのだ。
しかし道の途中、私は自分がある種の袋小路に潜り込んでしまったことに気付いた。悲しいレインコートは豪雨の前には何の役にも立たず、私と私の荷物は雨に曝されるしかなかった。大学と自宅の中間地点、強まる雨。結局の所、袋小路を抜け出すためには壁を無理矢理に乗り越える道しか残されていなかった。(仮に引き返したとして、何が得られただろうか?)
壁を乗り越えるために方針を立てねばならなかった―これ無しに動き回ることは悪い結果を招くであろう事は容易に推測できたからだ。すでに取り返しのつかない域にまで濡れている私と、まだ致命的とは表現できないにしろそれなりに濡れた私の荷物。私はレインコートを脱ぎ、荷物に被せた。何かを守るためには他の何かを捨てなければならないのだ。人生における重要なルールの1つである。故人は言った、「二兎を追う者…」
再び走り出した私に容赦無く雨が降り注ぐ。私が学んでおくべきだった事柄はたった1つだった。398円のレインコートは何一つ守ることができない。精々、小さな荷物が濡れるまでの時間を稼ぐ程度である。その程度の事を忘れていたという些細な失敗が私をこれほどまでに危機的な状況に追い込んでいた。致命的なミスというものは大概はそのようにして起こる。いや、そのようにして起こるミスこそが致命的なものなのだ。真に警戒すべき対象は、往々にして警戒されていない方向に存在する。事態が明らかになった時にはもう誰もその進行を止められない。
しかしながら、特定の種類の物事に付随するリスクの増加は、ある段階を超えた時点から現実感と共に薄くなっていくものだ。全身が濡れた段階において、私はある種の悟りともいえる状態に達していた。皮膚を濡らす雨。水滴。水飛沫。水。水。遠い遺伝子の記憶。蒼い海。人はいつから水を恐れるようになった?今、私は母なる海に還るのだ。生命の源へ―――
あ、すいません。特にオチとか無いんで。ごめんなさい。また明日。本当すいませんね。
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